クロード・バルマ&ジャン=ポール・ベルモンド版テレビ映画「Les trois mousquetaires」(1959)(追記あり)
2012.02.28 Tuesday
クロード・バルマ&ジャン=ポール・ベルモンド版テレビ映画「Les trois mousquetaires」(1959)。監督はクロード・バルマ。モノクロ作品。仏語音声、字幕なし。PAL 2
ジャン=ポール・ベルモンドのダルタニャンです。自分にとってベルモンドといえば、アクションものよりも、「勝手にしやがれ」や「いぬ」が強烈でした。そのベルモンドのダルタニャン。ダルっぽく軽快で青臭いです。
アトスはオヤジ。実はこのアトス氏、後の同監督作TVミニシリーズ「D'ARTAGNAN」(1969)でのトレヴィルなんですよ!あまりに渋すぎて印象なかったですけど。あ、ちなみにDVDジャケの着色写真はすごく奇妙です。作中、ダルは口ヒゲはやしていますし、一番左の現代風短髪の人物、これアトスだと思いますが、役ではちゃんと、短めですが鬘を被っています。
ポルトスは、ボルドリー版でリシュリューを演じたダニエル・ソラノ。ここんチのポルトスはあんまり目立たなかったので、リシュリューのときのようなカリスマは封印。アラミスが金髪のオールバックでなんだか変。それと、ウィンター卿がボルドリー版でのアトス役のジョルジュ・デクリエールという顔触れです。
59年のバルマ版と61年のボルドリー版はいろいろ繋がりがあって、かつてバルマが演出した「シラノ・ド・ベルジュラック」にはこの59年三銃士組が沢山いるのですが、ロクサーヌを演じていた女優さんがボルドリー版のアンヌと、フランス映画・演劇界のネコヒタ的様相が・・・。
T.N.Pはソラノとトレヴィル役。コメディ・フランセーズの正座員は、プランシェ役とデクリエール。バッキン役は後に正座員に、ボナシュー役は元。そういえば、正座員(Sociétaire de la Comédie Française)リストを見ていたら、ベルジュ版アトスのアンリ・ロランの名を発見しました(笑)。
ボルドリー版のたった2年前の作品ですが、カラーでないことよりも、ほとんどがセット撮影で、あの時代の世界観を補完すべきすばらしい景観のロケのなさが、ここまで作りの印象を違えてしまうものなんだなあと感じます。1921年のベルジュ版ショートサイレント映画でさえ、ロケがステキでしたから。
ここからネタバレです。字幕なしなので、適当な解釈です。
突然、トレヴィル殿の激怒から始まります。通路で書類への署名を願い出ても、後だ後だと怒りまくりで、三銃士を呼びつけます。アトスの怪我は左肩で、かなり痛みでよろけてて、結局トレヴィル殿の握手にも応えられずに倒れちゃいます。フェルー街の乱闘は6×6で、仲間が二人殺られた(多分)と原作通りですね。左肩というのは、これまで観たところでは、あとボルドリー版だけじゃないでしょうか。
おっと思ったのが、アトスが運ばれた直後、アラミスがトレヴィルの執務室前でハンカチを落としたこと。これは後の「D'ARTAGNAN」と同じパターンですね。違うのは、「D'ARTAGNAN」が、ロシュフォールを追っかけてダルが順々に三銃士と決闘の約束をするのに階段を駆け下りていたのに対し、このベルモンド版では階段を上っていくんです。演出の違いが面白い(でも、約束した時間が違くない?/苦笑)。
ここで驚きなのが、なぜかこの場にミレディとロシュがいること!どうやら、ここはトレヴィル邸ではなく、演出の便宜上、王宮に近衛銃士隊長の執務室があるってことになっているんですかね?護衛士たちもうろうろしているし。そりゃ、こんな所にいれば目撃率高くなりますよ。下手すりゃアトスだって目撃しかねないでしょ。
ミレディは黒髪のマダムという感じで、ミレディっぽくない。この女優さん、なんだか明るい性格っぽく見えると思ったらイタリア出身でした。ロシュはすごく変です。鬘が・・・。気味悪いし。それより、マンの町のシーン省略されてましたケド。
カルム・デショーの乱闘。ジュサック出番ありました。意外なのが、なぜかジュサックがウィンター卿を連れているんです。しかも、ジュサックに義理立てして、初めは介添人的に乱闘を面白そうに見物していた彼も、ダルがジュサックを倒すとダルと闘っちゃってる。原作のダイヤモンドの房飾り事件の後の決闘ネタをここに持ってきて、一体彼は、何がどうしてこんなところにいることになったんでしょうね?(笑)そのお陰で、珍しく彼はこの作品で目立っています。
ところで介添人ですが、原作「三銃士」でも出てくるように、立会人・証人であるとともに、ルイ13・14世頃までは、介添人はイコール決闘者となるパターンが多かったようです。介添人参加型の決闘というわけ。介添人がすべてダルの決闘の相手だった対三銃士は別として、ダルとウィンターの決闘にそれぞれ3人の仲間が決闘者として加わってましたよね。面白いのが、近代的な決闘はイタリアで始まったらしいんですが、名誉を賭けた正式の決闘が大流行したのはフランスやイギリスなど北欧でだそうです。なぜなら、イタリアだと血の気が多すぎて(笑)、その場で一族郎党入り乱れての大乱闘になってしまうとか。可笑しすぎる。
閑話休題。
その頃ミレディは屋敷に宝石商を呼んで、石座部分が動く指輪を見ている(それに毒薬を仕込むんですね)。そこへロシュがやって来ます。ウィンターが銃士と戦ったみたいなのとミレディ。おそらく、ウィンターが死ねば、ミレディの息子が男爵家を継げるみたいなことでも言っているのかと。そこへウィンターが陽気に(笑)帰って来た。心配してたのよと白々しく言うミレディ。ウィンター、ダルを連れてきてミレディに紹介し、ご機嫌で決闘の様子を話します。すごい原作組み替えだなぁ。ウィンターがダルを呼びに行っている間にロシュは、今夜(バッキンガム公爵のお忍び)だとミレディに念を押して裏から退散し、ケティはケティで、ワルド伯の手紙をダルに見せてミレディに惚れても無駄よ的?編成替えの所為か展開がやたら早く感じます。っていうか、コンスタンスまだ出てきてないんですけど。
家でぼやくプランシェ。この版には従者はプランシェしか出てきません。極貧で食べ物がなくてボナシュー家から盗むところはいつもの通り。それを嬉しそうに食べているところにボナシューが訪ねて来て、慌てて肉とワインを隠すところが面白い。ボナシューが連行された後で、アトスがやたら物憂げに酒食らってて、もしや!?との期待通り、大告白大会です。早い段階での告白は、仏版サイレントでありましたね。ワインが足りんとプランシェに怒鳴ってるアトス。
そんなぐだぐだしている一方で、なんとミレディとロシュがボナシューの家にわざわざやって来るんです。ボナシュー宅には護衛士が網を張っていて、間違えて捕まえそうに。ミレディの行動がイマイチわからんですね(苦笑)。コンスタンス救出劇の後、コンスはバッキン逢い引きの手引きのために外出しますが、入れ違いに今度は公爵がやって来て、ダルと鉢合わせしている。このボナシュー宅を中心に人物が出たり入ったりする演出は、もしや、場面転換のない一幕で進行する舞台的なのでは。バッキンは銃士の制服を身につけていません。
さて、ダイヤモンドの房飾りの一件へと話は向かいますが、ここでリシュリューが、ミレディに赤鳩亭で待つように指示している(こんときの猫がカワイイ)。ンン、ここで赤鳩亭!?さらにぶっ飛びなのが、コンスがバッキン宛の王妃の手紙をもたらす前に、このタイミングでダルがアトスのところへやって来て、恐ろしいよと、ミレディには烙印があるんだといきなり言い出すんです。アトス、君はあの女は死んだと言ったよねと。えええー、ダル、いつの間にそれ知ったんだ?もちろんミレディとランデヴーしたときでしょうけど(コンスまだ行方不明になってないのに完全二股/笑)、そのシーンがすっぽりと抜けているんです。しかも、赤鳩亭にいることまで知っているし。アトス、ダルにポルトスとアラミスを呼びにやり、自分はトレヴィル殿に掛け合いに行きます。
コンスが王妃の手紙を持って来るのがその後のことで、4人は急ぎ出発。そこに赤鳩亭シーンが挿入されるというトンデモ編(笑)。リシュリューとミレディの密会の隣の部屋では三銃士がスタンバっていて、ストーブの煙突を外して盗み聞き。リシュリュー自ら、ピューリタンのフェルトンという男を利用しろと指図してます。アトス、短銃で脅しミレディから書付けを奪うと、プランシェに短銃を渡し、見張るように命令します。ところがプランシェ、さっきからべろんべろんに酔っぱらっているものだから、ミレディ、プランシェを簡単にやっつけて逃亡しちゃいます。ここんチのプランシェは使えない男なんです。
場面はイギリスへ。ミレディは愛人フェルトンを籠絡して短剣を渡し、バッキン暗殺を仕向けます。おや、ダイヤは盗まないのか・・・?
バッキン、ウィンターと、出航前にラ・ロシェル戦の戦術を立てている。フェルトン、バッキンを刺し、虫の息のところへダルが王妃の手紙を届けにやって来ます(バッキンの暗殺が早すぎて今頃感が/苦笑)。ウィンター、代わりに手紙を読んでやり、しかもバッキンの瞼を静かに閉じてやるというおいしいところ持っていってます(笑)。
ダルはフランスへ戻り(結局、往路も帰路も護衛士の襲撃シーンなし。三銃士は赤鳩亭で別行動だし)、三銃士と舞踏会場に乗り込みチャンバラ(乗り込む前の、ロシュとトレヴィルの張り合い合戦がなんか面白い)。アンヌは、血染めのダイヤの箱を見て驚くという展開。
そして、コンスは尼僧院に匿われている。話が組み替えされすぎているので、何だかわけわからないうちにコンス毒殺。アトスは毒を盛られた杯を見つけ、尼僧長に誰が注いだのか問い詰めると、そこにはウィンターに捕まえられた(!)ミレディが。逃げれなかったミレディなんて・・・。ウィンターが、自分の義妹だから云々と言うと、「俺の妻だ!」って激情に駆られてミレディの肩をめくって烙印を露にしちゃうアトス。おいおい、冷静でないよ。
ラスト、コンスの亡骸の前で悲しむダルを慰める三銃士。アトス、「すべて終わった」。暗澹と道を馬で去って行く4人。
えーと、すごい原作組み替えで、省略もあるし、ちょっと混乱してしまいそうです。しかも、ダルのミレディ略奪シーンがすっぽり省略されているので、ミレディの蛇のような恐ろしさや、ダルを殺したいほどの憎しみが伝わってこない。そのため、コンス毒殺の理由も弱くなってくるような。よって、いささか唐突な「三銃士」に。きっと、より原作に忠実に作りたくてバルマ監督は後に「D'ARTAGNAN」を製作したのではと思いました。ただ、監督はあまり派手なアクションシーンは描かない人のようで、はちゃめちゃに楽しいアクションシーンがどちらの作品にもないのが残念なところ。やっぱり、改変があってもレスター版とか、アクションシーン楽しくて何度観てもワクワクしますもん。ボルドリー版の破壊(笑)はやりすぎですが。
追記:このTV映画はデュマとマケによる1849年に書かれた戯曲「La jeunesse des mousquetaires」を元にしているそうです。これで細かい部分が理解できますね!(るいさんに感謝)













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